SOUNDPROOF BOX-6

LAST UPDATE: 2016.03.05

K邸防音室


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防音室、第6作目は北大阪の閑静なマンションの1室に設置する事になった。施主は女性ピアニストである。子育ても落ち着き、本格的に音楽活動再開に本腰を入れようとした矢先に近接住戸から苦情を申し立てられ、今回の依頼となった。

マンションというのは、壁や床一つ隔てて、様々な境遇の人たちが生活している。その中で音の問題というのはいつもながら、とてもデリケートな要素を含んでいる。例えば同じレベルの音でも、子育て中などで常に生活音がある空間で聞く音と、夫婦だけで老後をゆっくり生活している中で聞く音とでは、感覚的にかなりの違いがあるようだ。


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さて今回の計画についてであるが、まず音が伝達しないようにマンション躯体と絶縁する事は徹底して行った。内装については、特にここが特別な部屋という位置付けはせずに、床はフローリング、壁・天井はクロス貼とし、ほかの部屋から出入りしても自然に感じられるようにした。


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今回は初めて共用廊下側の洋室に防音室を設ける事となったため、いつもと少し勝手が違った。問題はマンション躯体の大梁と柱に囲まれた採光窓と防音室との間に出来る小さなデッドスペースである。そこで実際に防音室にも通風と採光を取り込めるように、ガラスのテラス戸を設け、ここを半屋外的空間として利用できるように目論んだ。

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当初はエアコンの排水ドレインの勾配が取れないので、ここに観葉植物を置いて、室内で出たドレイン水を潅水に利用してまた室内に還元するような計画をしていたが、出来上がってみるとドレインの勾配がなんとか取れたので、万が一の事も考えて外部に排水する事にした。しかし偶然ではあるが面白い空間なので、是非坪庭のように使っていただきたいと思っている。

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