ホイリゲ
「ホイリゲ」とはオーストリアでは「今年できた新しいワイン」の意味ですが、そうしたワインをワイン畑のすぐそばで飲ませる酒場のことも表します。ウィーンでは近郊にこのような店がたくさんあり、よく仲間内で連れ立って飲みに行きました。
ホイリゲもウィーン市内のガイドブックに載っているような店は観光客がバスで乗り付けたりして、地元で生活している人にとっては少々興ざめのようですが、そうでない、地元民に愛される隠れた名店も数多くあります。
ZIMMERMAN/ツィンマーマン
このホイリゲはウィーンの19区の山の中腹にある、外でワインが飲めるお店です。ウィーンの中心から路面電車に乗って30分ぐらいで行くことが出来ます。
まず一面のブドウ畑の中、坂道を上り、車道にぽつんとある小さい看板のところから敷地に入ります。さらに舗装されていない農道が続き、道中がいっそう期待感をふくらませます。最後に坂の上のゲートをくぐると、ブドウ畑の斜面にベンチを置いた風景が広がります。
アプローチの看板
典型的なオーストリアの小屋造り
見渡す限りのワイン畑
普通ホイリゲでは食べ物はセルフサービスで、多くの場合、建物の中のガラスショーケースに並んだ料理をカウンターごしに注文します。豚肉・鶏肉のローストやハム・チーズ、サラダ等のホイリゲ料理があります。
ワインは種類と分量をテーブルで注文します。普通は1/4リットルのガラスのジョッキで飲む事が多く、3杯でボトル1本分あるわけで、つい飲みすぎてしまいます。ウィーン独特の、炭酸で割ってビール感覚でごくごくと飲む方法も人気があり、とにかくワインは高級レストランで静かに味わうものという固定概念は崩れます。しかし良質のワインをこだわって造っている造り手の店へ行くと、普通にワイングラスで味わったり、ホイリゲワインとこだわりワインを別に注文する事が出来ます。オーストリアは白ワインが特においしいですが、もちろん赤もあります。
ホイリゲのたたずまいは様々ですが、典型的なものはホイリゲ街なる連続した中庭形式の店が軒を連ねたものです。冬は室内席で、夏は中庭席で楽しめます。店を何軒かはしごするのもいいでしょう。