冬学期(1998/99)

メディアフォーラム・ウィーン

AUT_4313.JPG-p 模型写真


入試が終わって1週間後、今期のプロジェクトが発表になった。通常ホラインのクラスでは1年目の新入生の
最初の課題として「場所と広場」という題で、世界各地の人の集まる広場の模型を造り、その分析を行う。
大変面白いプロジェクトなのであるが、私の場合すでに実務経験も有り、最初から設計課題を自由にやって
よいという事であったので、自分で課題を決めてやる事にした。

しかしいざ場所と建物を設定する時に、ウィーンで今何が問題になっていて何が出来るのか?という事で悩
んだ。まず場所である。ウィーンの中心部はよく知られているように、街全体が中世からの建築博物館のよ
うに前・前前世紀の建物で覆い尽くされている。建物の建っていない所は「広場」もしくは「公園」となっ
ており、空き地というのはほとんど見当たらない。日本の都市であれば建物は古くなったら壊され、また好
きなように新築されるであろうが、ここではそうはいかない。しかし今回あえてその中でも敷地のポテンシ
ャルがまだ十分発揮できていないと思われる公園に計画する事にした。


Site_1000.jpg 配置図

敷地は街の中心の目抜き通りケルントナー通りの延長にあるが、敷地の前で広幅の自動車道路が横断してい
る為、人の流れはここで途絶える事になる。そこで今回の計画は、敷地の手前まである地下街を延長し、こ
の広場まで連結、広場に新しい施設も造り活性化しようというものである。

Elevations.jpg 立面図


ウィーンでは100年以上前の建物がいまだ現役は当たり前である。それゆえ内部改修は頻繁に行われる。し
かし改修にも限度があり、現代の最新設備に耐えうる建物は少ない。ウィーンは古き良き時代の建物を保存
すると共に新しい建築をも必要としていると考え、この場所にニューメディアの為の劇場とアートの展示空
間、さらにオフィスの複合施設を提案した。


section.jpg 断面図

敷地は前述の通り自動車道路により分断された陸の孤島のような場所で、メインのアプローチは地階からと
なる。そしてオフィス棟をくぐり、地階から2階までが展示スペースとなっており、上層階は3つの卵形をし
たニューメディアの為の大中小のホールが載っている。

AUT_5166.JPG 模型写真




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