■ 夏学期(1999/2000

ショッテントーア計画
vonTor.jpg
留学生活最後、4期目の設計課題である。以前から噂されていたが、今期からついにハンス・ホラインが教
育の現場から退く事になった。学科長の籍はそのままに、客員教授としてウィーン新博物館地区の設計で知
られる建築家、ラウリッツ・オルトナーを迎えた。課題は「公共建築」が出された。

今日の
公共建築とは何かを考えた時に、もはや旧来の役所とその施設はその意味が薄れてきていると思われ
る。これからはインターネット等を通じた情報網が、それらに取って代わるであろうと思われ、市民にその
ネットワークを造る手助けとなるような文化施設を提案した。



05.JPG ショッテントーア駅からヴォティーフ教会を望む

敷地はウィーン大学の北側で、ショッテントーア駅という路面電車の終点ロータリーとヴォティーフ教会と
の間の広場に設定した。実はここは1年目の課題の時に2番目の候補の敷地であった。本当に街の中心部には
建築出来る場所は少ない。常に街の伝統と向き合わなくてはならないからだ。ある意味、街並みは既に完成
しているのである。



06.JPG ショッテントーア駅ロータリー


しかしこの敷地も現代では、四方を絶え間なく走る自動車と路面電車の為に、陸の孤島と化している。また
路面電車の終点ロータリーは地上と地下の2層構造になっているのだが、その内部はぽっかりと楕円形に穴
が空いた形で芝生が植えられている。誰も立ち入ることは出来ない。それゆえ今回、駅と広場をつなぐ長い
通路のような建築をここに置く事により、人の通行のネットワークを生み出す事を計画した。



Birds_1.jpg 鳥瞰図


具体的には、ロータリーの中心をもう1層掘り下げ、ここに新たな広場を新設する。そしてここから教会前
広場に向かって長い橋を架ける形で建物を配置。上階が気軽に人々が立ち寄れるコミュニティーセンター
として機能する。市民のためのパソコン教室や貸事務所、展示スペースなどが設置されている。また教会
前広場のランドスケープもデザインされ、野外劇場、パーゴラ等が配されている。


schnitt_01.jpg 断面図




→「トップページ」へ