LOISIUM

LAST UPDATE: 2006.07.17

LOISIUM

2006.5.25

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スティーヴン・ホール設計のワイナリーとして国際的に知られるようになった施設である。ウィーンから西に約80km、ドナウ川下りで有名なヴァッハウ渓谷近くのランゲンロイスという小さな村があり、この地方固有の葡萄種“グリューナー・フェルトリーナー”のワイン畑の丘の上に彫刻のようにそびえている。機能的には地下に昔からあるワインセラーの上に新しい建物を増築するという手法であるが、プロジェクトの性格上このような象徴的なデザインが求められたのだろう。ここは近郊の村々から様々なワイン、特産物を集め販売するビジターセンターである。施設全体も大型で、すぐ北に別棟のスパ付ホテルや駐車場が併設されている。人々はここでワインと大自然を楽しみながらゆったりとした時間を過ごすのである。

ビジターセンター棟の表面は、切子状に様々な角度でアルミ板が貼られている。ジョイント部はスリットを取ってあるだけで、開口部についても同様にエッジが切り放してある。そのため全体としてはまるで大地から突き出した岩の塊のように見え、ワイン畑とのコントラストが美しい。

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内部は地下のワインセラー階まで、3層の吹抜を中心とした一つの空間である。壁にはコルク材、窓にはワインの瓶と同色のグリーンに色付けされたガラスがランダムに嵌め込まれており、ステンドグラスのように外光を導き入れている。1階のカフェから外に出ると細長い水盤が設けられており、その中に地下のセラーへ光を引き込む丸いトップライトがある。水盤に平行してまっすぐに通路が延びており、その先には表面にア−トワークが施された黄色いゲートがある。通路の下は全てワインセラーであり、ゲートはその入口となっている。

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ホテル棟はメッシュの皮膜で覆われたブロックで中庭を囲む構成となっており、全ての客室から一面のワイン畑を望む事ができる。客室のインテリアもスティーヴン・ホールによる。レストラン、スパ施設、プール等が内包されている。

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スティーヴン・ホールのHP:
http://www.stevenholl.com